「お城の八公狸」 

        山城町岩戸にあった田尾城に八公と言う狸が住んでいた。この狸の額には八の字がハッキリ見られたことから
       八公の名がついた。
        八公は人を化かしたり取り憑いたり(狸取り憑き)しないのでお城狸八公と人々に愛され慕われていた。
        ある日八公は父の孫左右衛門が留守なので母の萩に連れられて色々なことを教わっていたが、そこを猛犬に
       襲われた。
        萩は「犬だ、上に跳べ」と教え自分は全身の毛を逆立てて猛犬に立ち向かって行った。
        八公が素早く跳び上がって逃げた際、岩角を踏むとそれが石混じりの土であったためザザアッと崩れ落ち猛犬は
       鼻先を石に打たれ逃げて行った。
        決死で戦いを挑んだ萩も難を逃れ親子は互いの無事を喜びあった、この時八公は寺子屋のお師匠さんに聞いた
        「親の恩は山よりも高く、海よりも深し」
        と言う言葉をしみじみと噛みしめたと言うことだった。